Japanese Alps と認めるその神々しいその山並??
ですから、山に登り始め、山の魅力の虜になり、やがて憧れるのは
「アルプス」
「山小屋泊」「テント泊」
「縦走」
の言葉。
でも、その名の通りその言葉を実現するには「それなり」の経験と体力が必要です。
そのため数々の山行を重ね、「それなり」の経験と体力をつけました。
そして、とうとう今回「アルプス」と「山小屋泊」という夢にたどり着いたのでした。
今回はいくつかある日本アルプスのひとつ「南アルプス」に遂にデビューです??
やったー
バンザーイv(^-^)v
そして、目指す頂上は「地球の展望台」の異名を持つ南アルプスの女王「仙丈ヶ岳」です。
南アルプスには日本で第2位の高峰「北岳」や貴公子「甲斐駒ヶ岳」などの名峰が数多くひしめいていますがそれらはどれもかなりの体力を必要とする山です。
その中で仙丈ヶ岳は標高は3,033mですが、比較的登りやすいということで、南アルプス入門の山とも言われていることもあり、デビューに良いのではないか、と決定したのでした。
もうひとつ、この時期は富士山に登る時期で、その前に3,000m前後の山に登って高度に体を慣らしておこうという目的もあったのですが、それにしては勿体無いような憧れの名峰です。
7時から7時半くらいには登り始めたかったので、家を夜中の1時半に出発し、中央道を諏訪ICまで乗りあとは一般道で、登山口のある北沢峠までのシャトルバスの出ている仙流荘まで行きました。
憧れの山に登るため、早朝から明るい笑顔が集まります。バスの切符を買う列に並び、次にバス乗車の列に並びます。
朝の5時過ぎにこんな行列ができるところなんて、大きな神社の初詣でくらいしか知りません。
北沢峠行きのバスに乗る人は仙丈ヶ岳か甲斐駒ヶ岳に登る人です。
「この人たち、仙丈ヶ岳に登るのかな」
チラチラ顔を見たり会話に耳を傾けて、山のエピソードを聞くのもワクワクします。
「みんな、アルプスは何度も登っているのかなぁ」
「初めて挑戦するのかなぁ」
もう、胸の高鳴りを抑える術などありはしません。
バスに揺られること40分あまり、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳登山の基地とも言える北沢峠に到着です。
バスを降りて、もう地に足がつきません。
何という美しい森林でしょう??
初めて見る南アルプスの森です。
まるで、初めて都会に出てきて高層ビル群に圧倒されているお上りさんのようにきょろきょろしてしまいました。
人気の山荘「こもれび山荘」もあるじゃないですか??
名前だけ聞いたことがあって、遠い世界と憧れだけ持っていた北沢峠とこもれび山荘。
そこに今いるのです。
これが、「北沢峠」。南アルプス登山の聖地のひとつです。ここで既に標高は2,032mです。仙丈ヶ岳山頂は標高3,033で、標高差はおよそ1,000mです。
シャトルバスの奥にはテント場もあり、そこをベースに甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳を1日ずつ登る人もいます。
森の中のペンションのような「こもれび山荘」。こんなメルヘンチックな山荘に、今度は泊まってみたいと思うのでした。
山荘前に群生する可憐なクリンソウ。この時期が最盛期で、見事に咲き誇っています。
いよいよ初めての仙丈ヶ岳への一歩を刻む登山口です。
繰り返しますが、ここ、北沢峠の登山口の標高は既に2,032m。
立派な高地です。富士登山の時もそうでしたが、30分くらいは高度順応してからゆっくり登り始めなければならないのです。
でも、初めての南アルプス。到底いつものテンションではなかったのです。
徹底的に叩き込んできたはずのルーティーンはどこかに吹き飛んでいました。
南アルプスの女王の魔法にかかったのか、ほとんどすぐ、元気に登り始めたのでした。
これが第一の失敗でした。
女王の懐。独特の美しさをたたえる、幻想的ですらある樹林帯です。
憧れの女王の懐は深い緑と微かな木漏れ日で、うっとりするような美しさです。
心を込めて一歩一歩、大切に歩いて行きました。
少なくともそのつもりでした。
でも、今回はアルプス挑戦のため事前に脚の筋力トレーニングをガッチリ行なってきていた影響がでていたのです。
いつもはコースタイムの3割り増し以上のスローペースで登っている自分が、ほぼコースタイムで登っていたのです。
富士山のように、山の何合目まで登ったかわかるよう標識が設置されているので、ペース配分がしやすくなっています。
一合目、二合目、三合目、順調に登って行きます。
勾配もそれほどキツくありません。
この時気付くべきでした。今の時点での自分には明らかにオーバーペースだった事に。
表向きは快調でした。脚力にもしっかり余裕があります。
それゆえ、水分補給も最低限、行動食も全く摂っていません。
途中、何度か甲斐駒ヶ岳の姿が見えます。「南アルプスの貴公子」です。
地元、長谷中学校の生徒さんの、心のこもった応援のプレートを度々目にします。この山は地元の誇り、みんなに愛されているんだと感じました。
熱い心を抱え一歩一歩力強く登り続け、一気に五合目「大滝頭(おおたきのかしら)」に到着です。
登りも下りも、殆どの登山者が大休止をとります。ここからルートが二つに分かれ、我々は小仙丈ヶ岳ルートへ向かいます。
初めてザックを下ろし、ベンチに腰を下ろしました。
水を飲み、ほっと一息ついて、三合目を過ぎてからやや勾配が増している中、同じペースで歩き続けた反動を実感しました。
ここからペースがガクッと落ちました。
次に目指すは六合目、そして七合目の小仙丈ヶ岳です。目前にそびえる小仙丈ヶ岳がとてつもなく高く感じました。
休憩を終え、再出発です。
ここからさらに、勾配が増してきました。今までのようなペースで脚が進みません。
でも、勾配の増加を差し引いても、思った以上に脚が重く、息がすぐ上がってしまいます。
ここまでで既に三つの失敗をしてしまっていては無理もなかったと言えます。
ひとつは先述の高度順応不足。
そしてオーバーペース。
とどめに水分補給、行動食不摂取。
バテるよう、バテるように心掛けているようなものでした。
小仙丈ヶ岳。既に標高2,864m。酸素濃度はかなり低くなっています。
もう少し先で昼食の予定でしたが!予想外にペースダウンしてしまったため、ここで昼食にしました。
が?? いつもならラーメンまたはカップ麺におにぎりと簡単なおかずをペロッと平らげる食欲がありません。
気持ち良い空腹感がないのです。
カップ麺ひとつを食べるのがやっとでした。
今考えると、自分なりの軽い高山病だっだのかもしれません。
昼食後、さらにペースが落ちました。
勾配も、急登というほどではないにしろ、この標高では息が上がりました。
おまけに小仙丈ヶ岳から八合目に鎖こそなかったですが、岩場が待っていました。
ガスも出てきて視界がどんどん悪くなってきました。
当初予定していたのは、仙丈ヶ岳山頂から仙丈小屋へ下りる、というルートでしたが、検討の結果九合目手前から直接仙丈小屋へ入る事にしました。
この先九合目、そして右に回り込むようにして仙丈ヶ岳山頂ですが、ガスで何も見えません。
今日登っても山頂からの眺望は全く望めず、良い事はひとつもないという事と、明日の朝ご来光を拝みに小屋から山頂に登れば良いだろう、という判断をしたわけです。
というわけで第一日目は無念の登頂断念、となったのですが、実はこれが感動のドラマへの第一歩となったのでした。
ここでの的確な判断が今後の全ての事態を好転させていくことを、この時はまだ正直全く予想すらしていなかったのでした。
次回、仙丈小屋での心温まる体験、ご来光前の女王の山頂、奇跡と感動のファンタジーをお楽しみに??
後編へ続く??